印鑑と契約書の話

契約などで押すことになるハンコや印鑑の基本

法務省が契約書等関連業務支援サービスのガイドライン公表 最終更新日:2023/08/07

法務省が、AIを用いた契約書等関連業務支援サービスの提供に関するガイドライン「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」を公表しました。


AI契約審査は、法律に関係する業務をITで効率化するリーガルテックのひとつで、現在、複数のスタートアップがサービスを提供しており、企業の法務担当者などが締結前の契約書をチェックして、不利な内容や紛争のリスクを摘み取る作業に利用されていて、人間だけで作業する場合に比べ審査や修正にかかる時間を削減可能となっています。


公表されたガイドラインでは、取引内容に法的な争いがない企業間の一般的な取引契約の場合、契約書をAIで審査することを「適法」とし、具体的な例として、親子会社やグループ会社間の取引や、継続的取引の基本となる契約を締結している会社間では、AI契約審査サービスの利用を認められています。


さらにAIが契約内容について言語的に不適切な箇所を指摘したり、一般的な解説を表示することも適法とし、企業内弁護士が使う場合や、無料のAI審査サービスを利用するのも問題ないようですね。


その一方で、契約内容の法的リスクを判断して修正提案する場合は「弁護士法に抵触し得る」と指摘しており、弁護士法では、弁護士ではない者が報酬を得る目的で法律事務を取り扱う行為を禁じており、本指針はAI審査を手掛ける事業者のサービスが、弁護士法に照らして適法だと見なせる目安を示しています。


政府内では「AI戦略会議」をはじめとして、AIの活用を巡る指針の策定や見直し作業が進んでいて、今回のガイドライン公表により、今後企業がAIサービスを活用する動きが拡大すると見込まれています。